なんやかんやゆうてたら、もう12月やね。寒なってきましたけど、みなさん、きげんよう、したはりますか。〈ぬー〉のやつは、ちょうどええおしめりの穴のなかで、仮死じょうたいでようねとる。春にはげんきに起きてきよるやろ。ファンのお方らのために、ゆうといたげましょ。
月刊ヌートリア通信[nutria news]2009.11.27
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2009年11月
月 刊 ヌ ー ト リ ア 通 信
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ぬーちゃん(ぐぬー先生)のなんてったってアイドル
その15 「動物化するポストアイドル」
みなさん、〈ぬー〉がいっつもお世話になっとります。今年は早々と冬眠に入りよったさかい、しばらくの間この代理の〈ぐぬー〉で、なにとぞよろしゅうたのんますわ。わしゃ年寄りやさかい、もうあんまし眠んでもようなっとる。ありがたいこっちゃ。代理ゆうても、〈ぬー〉みたいにおもろいことはよう言われへんけど、まぁがまんしたってや。もうなぁ、この年では世の中についていかれへんのや。しゃあない。そやけど、としよりは大事にしなあかんで。
さてこの連載は「アイドル」がテーマやとか。今まで〈ぬー〉が書きよったもん読んでたら、アイドルちゅうても、なんや70ねんだい、80ねんだいのなつかしいお方らが多い。あいつの趣味やろかね。わしか? わしゃ、なんちゅうてもAKB48ですがな。むかしのアイドルといまのアイドル、何が違うゆうて、まぁひとことでゆうたら、今は数が多いちゅうこっちゃ。むかしはだいたいがひとり、〈ぴんくれでー〉ちゅうのんがふたり、〈きゃんでーず〉が3にん、〈チャンバラトリオ〉が3人から4人にふえて、〈ふいんがーふぁいぶ〉が5にん、それくらいがせいぜいやった。え? なんかけったいなもんが混ざってるて? こまかいこと気にしなはんな。
とにかくそれがや、1985ねんの何とかニャンニャンちゅうフジテレビのばんぐみで、急に数がふえよった。ニャンニャンちゅうぐらいやから、ネコ化しよったわけやね。そらネコはにんげんより、いっぺんにようけ仔ぉ産むし、ふえよるのんも早い。この〈おニャン子〉たらゆう女子高生のクラブ活動は、ぬー界でも大人気やった。なんせアイドルがケダモン化してきよったわけやからね、親近感がわきますわ。この現象は、ぬー界では「アイドルからポストアイドルへ」「動物化するボストアイドル」ゆうて、さかんに議論されとった。
それから20年、アイドルの動物化はネコからネズミの段階まで逆進化して、数もますます増えてきよった。かいらしい若いおなごが48にんも踊っとったら、頭くらくらしてほんまええ具合やし、〈あきはばら〉ちゅうとこに行ったらいつでも会えるて、ますます身近な存在になってきました。ほんでわしの予想では、ネズミまできたら次の段階では、アイドルはほにゅう類から両生類へとブレークスルーしよんのはまちがいない。ワクワクしますなぁ。カエルになりよるんやろか、サンショウウオみたいになりよるんやろか・・・それ考えたてらほんま、長生きせにゃならんと思いますわ。
この9日間は、なんや知らんけど「仕分け」たらゆうお祭りで、日本中が盛り上がってたみたいですな。政治なんてどうせ変わらんと長いこと思てた多くの日本人が、とにかく注目したゆうのんは、たしかにこれは意味あります。
今日はさいばんで「けだもんの命」ゆうことが話題になったさかい、べつにケダモン代表ゆうわけやないけど、ひとこと言わせてもらいまっさ。
にんげんの好きな余興にスプーン曲げゆうもんがあって、何年かおきに流行ってるみたいやな。むかし、由利トオルやったか、ゲラーいいよったか、ゆうめいながいじんのペテン師もおった。わいらからみると、にんげんが、これにひかれる理由はめいはくや。わいらけだもんは、フォーク、スプーンやら、ハシやらゆうような、しんき臭いもんは使わん。にんげんも、もちろん昔は使わなんだ。いまは、使わへんかったら文明人やないさかい、みんな毎日使ぉてよるけど、もの喰うゆうのんは、もともとケダモン的なおこないやから、人間は心のそこでは、スプーンみたいなもん、きらいなんや。憎んどる。赤んぼがスプーン嫌がんのとおんなじや。そやから曲げよる。
みなさま、わいのしんせきの「ぬー」が、いつもせわになっとる。あのがき、今年はなまいきに、とうみんに入りよった。まあ、きょねんは寒いなか、きばって起きとったさかい、むりもないわな。それやったら、このブログたらちゅうもんも、もう冬休みゆうことにしといたらどないや、ゆうてやったんやけど、なんせ毎日、なんじゅう人ものお方が、見にきてくれたはるさかい、そんな義理のわるいことはでけんて、しゅしょうなこと言いよる。すまんけど、ちょっとのあいだ、うちのかわりに、みなさんのお相手しててくれへんか、て言われてなぁ、かわいい親戚のことや、ことわるに断れへん思うて、ひきうけました。「ぬー」ふぁんのお方には、まことに申し訳おまへんけど、来年春まで、わいみたいなつまらんおじぃやけど、がまんしといてくれるか。よしおかせんせにも手伝おてもろて、なんとかお勤めさせて、もらいまっさかい、いたらんところは、かんにんやで。
10がつ30にち、ふらんすの人類学者で、レヴィ=ストロースゆうおじぃが、きょうねん100さいで大往生しはりました。にんげんのがく者で、ぬー界をはじめ、けだもん世界でもひょうばんが高かったお人や。お若い学生さんら、「自由な知性」とゆうもんが何をいみするか知りたかったら、このお方の『悲しき熱帯』ゆうご本を読まはったらよろし。にんげんがこの数世紀、「近代化」ちゅうめいもくで世界をむちゃくちゃにしてきたこと、それだけやのおて、そのむちゃくちゃになった状況を世界の「デフォルト」やと勘違いしとること、それがそもそも間違いのもとやでて、訴えてきゃはったひとや。ぶんめい人は「土じん」ばかにするけど、「土じん」の文化のほうが、よっぽどクールで洗練されとって、それに比べて近代文明ちゅうもんは、威勢はよろしいけど、まだ出来たての野蛮なもんやゆうことを、見抜いたはった。けだもん世界では、まぁこんなこと常識やけど、にんげんでありながら、これだけの洞察もってるお方は、めったにいてまへん。そないにえらいお方やのに、日本では訃報があんまり話題になれへんのは、なんでやろかね。「くん章」やら「のーべる賞」たらゆうもんを、もろたはらへんさかいやろか。日本の新聞には「レビストロース」て出たある。あほか。そんな、焼き肉屋のメニューみたいな名前のひと、いてへん、いてへん。
にんげんのおかたらは、なんかゆうたら、ほうびを、もろたりあげたりすんのんが、ほんま、お好きやねぇ。
秋もだんだん、ふかまってまいりましたけど、みなさん、きげんよう、くらしたはりますか? インフルエンザはもちろんですけど、かぜも流行ってるみたいやさかい、きぃつけとくなはれや。
「なんてったってアイドル」 その14 「アイドルと声」
IAMASメールマガジン「月刊ヌートリア通信[nutria news]」2009.10.23
先月はうちとしたことが大事な原稿おとしてしもて、すんまへんどした。 「ぬー通」へんしゅうぶにも、まい月たのしみにしてくれてはったおかたらにも、ごしんぱいおかけしました。ほんで今月は「アイドルの声」ゆうテーマで書いてみんかて、編集長のふくもりさんからのご依頼や。ぬーもひとの子、そこまで言われて、ことわれる義理はおへん。
「アイドル」ゆうたらとかくヴィジュアル面ばっかりに目がいきますけど、「声」、たしかに重要なテーマやね。アニメの声優はんの声、聞いただけで萌えますわ。パブロフの犬ちゅうやつやね。毛ぇ剃った自分の身体にマンガ書いてもろて「アートアイドル」たらゆうたはる若いおなごも「声ちゃん」ていわはります。ほんまにエロいのは映像やのおて「声」や、ゆうことかもしれへんね。それは、なんでやろか。
「声」はまぁ、べつに人間だけのもんやあらへんし。うちらけだもんにも、鳴き声ゆうもんがあります。それに対して、ふつう人間の声は、ことばをしゃべるために活用されとる。そやけど言語情報伝達するだけやったら、別に声で言わんでも、他にも手段はありますわな。それをわざわざ声出すのんは、「声」には、ことば以外の身体情報が満載されとるからや。ルソーの『言語起源論』を読むまでもなく、「声」ゆうんは、言語のヴィークルのようであって、実はけだもんと人間とを結びける特異点や。
けだもんはしゃべらへんのに、にんげんは、けだもんがしゃべるて想像するんが大好きや。ほんらいしゃべるわけのないもんが、しゃべる、ゆうことが「声」ちゅう経験の、原初的なかたちなんかもしれん。うちがしゃべってることの不可解は、まあ置いとくとして、いろんな神話を読むと、どうぶつはもちろん、むかしは神さんが、ちょくちょく人間にしゃべりかけたはった。ゆうてもだいたい言わはることは「おい、おまはんらええ加減にしいや」みたいなことやけどね。ソクラテスたらゆうおじんも、なんかしたろか思たら「やめとき」ゆうて頭の中にデーモンの声がした。なんや、アブナいことですわな。そやけど、ここがだいじなとこや。
アイドルの声も、この「アブナさ」がなくなったら、「いらっしゃいませこんにちわー」ゆうたはる、コンビニのねぇちゃんの声とおんなじですわ。声にはそもそも「霊」的なもんがあるんです。何ゆうてるか分からへんてか。そうゆうお人は、たとえば宇多田ヒカルの声をよう聞いてみなはれ。「十五、一六、十七と、あたしの人生暗かった~」ちゅう、おかんの生き霊みたいな声が、かすかに響いてまっせ。ああーこわやのこわやの。そやけどそれがあるさかい、ヒカル、ごっつ好きなんや。
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